「あらゆる音や人の声がやたらと耳障りに感じる」
「周りの人は平気なのに、自分だけがイライラしてしまう」
「人の声を聞くのが苦痛で、外出するのも億劫だ」

こんな思いを抱えていませんか?

本記事では、「人の声が聞きたくない」と感じる原因を詳しく解説しその対処法を紹介していきます。

「人の声が聞きたくない」と感じる主な原因

「人の声が聞きたくない」と感じる原因は実に様々です。

ここでは、主な原因である「聴覚過敏」と「ミソフォニア」、そして「HSP」について詳しく見ていきましょう。

聴覚過敏

通常の人にはほとんど気にならない程度の音が、不自然なほど大きく感じられたり、不快に感じられたりする状態を指します。

脳が音の情報を処理する過程で問題が生じている状態だと考えられています。

音に対して過敏な反応を示してしまうのは、聴覚野と呼ばれる脳の領域の活動が通常よりも活発になっているケースが多くみられます。

なぜ通常よりも活発なのか?という部分への言及は様々ですが、発達障害による過敏性や心理的要因が関係しているという報告もあります。

症状

●普通の会話の声が大きく感じる

●背景音(エアコンの音など)が気になって仕方ない

●騒がしい場所にいると疲れやすい

●突然の音に対して過剰に驚く

ミソフォニア(特定の音への嫌悪)

ミソフォニアは、特定の音に対して強い嫌悪感や怒りを感じる症状です。

聴覚系と感情を処理する脳領域の異常な結合が関与している可能性がある、あるいは特定の音に対する過剰な感情の動きが、前頭前皮質や島皮質などの脳領域の活動異常と関連していると考えられています。

症状

●人が食べる音や咀嚼音に強い嫌悪感を覚える

●キーボードのタイピング音に苛立ちを感じる

●ペンをカチカチする音に怒りがこみ上げる

●特定の音を聞くと、逃げ出したくなる

もしこれらの症状に心当たりがある場合、聴覚過敏やミソフォニアが「人の声が聞きたくない」と感じる原因かもしれません。

HSP(Highly Sensitive Person)

HSPとは、「高度な感受性を持つ人」のことを指します。初めて言及されたのは1996年と最近ではありませんが、ここ数年よくメディアなどで取り上げられるため耳にしたことがある方も多いかもしれません。

心理学者のElaine Aron博士が提唱した概念で、人口の15-20%がHSPの特性を持っているとされています。

HSPの人は、外部からの刺激に対して敏感に反応する傾向があります。これは、脳の情報処理システムが非常に精緻に働いているためだと考えられています。

症状

●音や光、匂いなどの感覚刺激に敏感

●他人の感情を敏感に感じ取る

●複雑な思考や深い内省を好む

●環境の変化に敏感で、適応に時間がかかる

HSPの人にとって、人の声は非常に強い刺激となり得るため、「人の声が聞きたくない」と感じることがあります。

その他の要因

その他にも様々な要因が考えられます。

社会的疲労とストレス

社会的疲労やストレスが溜まると、通常なら気にならない刺激にも過敏に反応してしまうことがあります。これは、ストレスによって脳の扁桃体(感情を司る部位)が過剰に活性化するためだと考えられています。

症状

●些細なことでイライラする

●集中力が低下する

●疲れやすくなる

●人と話すのが億劫になる

うつ病との関係

うつ病の人は、しばしば過敏性や易刺激性を示します。

症状

●気分の落ち込みが続く

●テレビなどがうるさく感じ、少しも聞いていられない

●興味や喜びの喪失

●疲労感や気力の低下

日常生活での具体的な対処法

日常生活で実践できる具体的な対処法はどんなものがあるのか?見ていきましょう。

聴覚過敏・ミソフォニアへの対策

周囲の音を物理的にカットする方法などがあります。静かな環境を確保する方法として、遮音カーテンや防音パネルの使用、家具の配置を工夫して音の反射を防ぐなどがあります。

ノイズキャンセリングヘッドホンの活用

ノイズキャンセリングヘッドホンは、周囲の音を効果的に遮断することができます。遮音性能が高いものや装着感が良く長時間使用できるものがよいでしょう。

ホワイトノイズの利用

ホワイトノイズとは、全ての周波数の音が均等に含まれる音のことです。

●雨音

●滝の音

●ピンクノイズ(低音が強調されたホワイトノイズ)

などが当てはまります。

これを聴くことで、特定の音への注意を緩和し、リラックス効果を得ることができます。日中の集中力の改善にも効果的なのでオススメです。

ホワイトノイズマシンを購入するか、YOUTUBEなどの動画サイトを利用して聴くのもよいでしょう。

HSPやストレスによる過敏性を持つ方への対策

環境からの刺激に敏感になっているため、日常生活での刺激を適切に調整することが重要です。

感覚刺激を調整するための工夫

●照明を柔らかくし、必要に応じてサングラスを使用する

●香りの強い製品の使用を控える

●衣服は肌触りの良い素材を選ぶ

●職場や自宅の温度・湿度を快適に保つ

●騒音源から距離を置く、または遮音対策を行う

まとめ

「人の声が聞きたくない」という症状への対処には、多角的なアプローチが効果的です。

日常生活の工夫の他にもメンタルヘルスの管理も有効です。聴覚過敏が強いストレスを引き起こしていたり、あるいは強いストレスによって聴覚が過剰に反応している場合などは専門機関への相談を検討しましょう。

認知行動療法(CBT)や音響療法、場合によってはストレスに対する抗うつ薬など薬での調整が必要になってくる場合もあるかもしれません。

症状の程度や個人の状況に応じて、これらの対処法を組み合わせてアプローチしていくことが大事です。