「仕事ができない人」の顔つきには共通する特徴があります。
「あの人、なぜあんなに仕事が出来ないんだろう?」と気にしている方もいれば、
「自分の顔つきのせいで仕事上の評価に響いていないだろうか」と
自らの外見を気にしている方もいるかもしれません。
外見的特徴と仕事の能力、一見まったく関係のないような事柄がなぜ気になるのでしょうか?
2017年に発表された顏印象の研究によると、人は0.1秒という非常に短い時間で、相手の能力や信頼性を判断しているということが明らかになりました。つまり私たちは無意識のうちに、顔つきから相手の仕事能力を判断しているのです。
仕事ができるかどうかというのは、コミュニケーションが円滑に図れるかどうかにも左右されます。職場ではそれぞれお互いに、「自分たちとよりよい仕事をしようと考えてもらえているか」という部分も表情を読み取って無意識に判断している、といっても過言ではないでしょう。
今回は、仕事ができない人の顔つきの特徴をテーマにお伝えしていきます。またそのような顔つきになる原因、職場での印象の変え方まで紹介していくのでぜひチェックしてみてください。
またここで言う『顔つき』は、生まれ持った容姿ではなく表情や姿勢など、私たちが日々コントロールできる要素を指します。印象改善の機会を探るためのものとしてご活用していただければ幸いです。
仕事ができない人の顔つきの特徴
ではまず、それぞれのパーツに分けて仕事ができない人に共通する顔つきの特徴を見ていきましょう。
目つきの特徴
目つきには、以下のような特徴があります。
●視線が定まらない、落ち着きがない
●目を意図的に伏せる・眼が合うのを避ける
●目元にクマがある
目の動きと集中力には強い相関関係があることが示されており、目を伏せたり視線が落ち着かないのは自信のなさ・集中力の欠如を表しています。
目元のクマなどはそれだけで質の良い睡眠が取れていない・あるいは夜更かししているなどのイメージを与えてしまい、自己管理ができない人ということを印象づけることにもなりかねません。
眉の動きの特徴
目の動きや表情変化に伴って動く眉の動きにも特徴があります。
●眉間にしわが寄っている時間が長い
●眉の動きが少ない、または硬い
眉の動きは、感情表現や意思疎通に重要な役割を果たします。
表情全体をよく動かす人だと、自然と眉も動きやすいです。2020年のBrown & Lee,の顏印象の研究では、適度に眉を動かす人はそうでない人に比べてコミュニケーション能力の評価が30%高いという結果が出ています。
口元の特徴
口角の位置は、その人の感情状態を反映します。口元の特徴としては、
●常に口角が下がっている
●話す際も口角が上がりにくい
●口が半開きになっている
という特徴が挙げられます。
いつも口角が下がっていると不機嫌な印象を相手に与え、コミュニケーションがとりにくいイメージが先行してしまいます。
2018年のGarcia & Martinez,による研究では、口角が上がっている人はそうでない人に比べて平均で17%ほど高い評価を受けることが示されています。
また口が半開きになっているというのは、まず仕事場で適した表情ではありません。
ぼーっとしている・集中していないような印象を植え付けてしまいます。
表情の変化の特徴
表情がはっきり分かりやすく変化するか、という点も重要な要素です。
仕事が出来ない人の特徴は、
●感情表現が乏しい(平坦な表情)
●相手の表情に合わせた反応が少ない
表情の豊かさは、共感性や感情知能の高さと関連があります。
表情が豊かな従業員は、そうでない従業員と比べてチームワークの評価が23%高いことが分かっています(Wilsonら 2019)。
人は色々な文脈を、言葉だけでなく表情を見て捉えます。
そのため淡々と言葉だけでコミュニケーションを取る人よりも、表情豊かにやり取りする人のほうがチームワークを図りやすいというわけですね。
以下の記事も読んでみてください。内向型が仕事できないのは嘘!強みを活かせる職業とはその他の特徴
顔つき以外には、姿勢や衛生面にも注意が必要です。
姿勢と全体的な印象
顏つきに加え、姿勢にも特徴があります。
●猫背や前かがみの姿勢
●肩が落ち全体的に元気がない印象
2020年のCarney らの研究によると、良い姿勢は自信と能力の高さを示すだけでなく、実際に仕事のパフォーマンスを向上させる効果があります。
その他の外見的特徴
身だしなみなど改善できるような部分が出来ていないと、実際に仕事の能力も低いという研究結果があります。
●髪や服装が乱れている
●服・靴などの汚れやシワに無頓着
●疲れた表情が目立つ
これらの特徴は、自己管理能力の低さや仕事へのやる気のなさをわざわざ外に示しているものです。
2018年のハーバードビジネススクールの研究によると、身だしなみに気を配る従業員は、そうでない従業員に比べて時間管理能力が28%高いという結果が出ています。
さらに2019年には、長時間の集中力を要するタスクでのパフォーマンスが15%高いことも分かりました。
努力すれば改善できることほど、放っておくとそれだけで「仕事ができない人とみなされてしまう」、さらに「仕事のパフォーマンスも、自己管理できている人より実際に低い」ということがはっきりしたかと思います。
仕事ができない人の顔つきになるのはなぜ?
では、なぜこのような顔つきになってしまうのでしょうか。その内面的な要因を探ってみましょう。
自信の欠如
自信がないとそれが自然に顔つきに現れます。
2018年の研究によると、自己効力感(自分にはできるという信念)の低さは、表情や姿勢に大きな影響を与えます(Brown & Lee, 2018)。
ストレスと疲労
慢性的なストレスや疲労は、顔つきを大きく変えてしまいます。
コルチゾール(ストレスホルモン)の分泌が増えると、顔の筋肉が緊張し、表情が硬くなるのです(Davisら2021)。
集中力の欠如
集中力が不足すると、目がうつろになったり、視線が定まらなくなったりします。
考え事をして口元が開いてくることもあるでしょう。
不眠やそもそもの特性(集中力がもともと続きにくい)、仕事内容にそもそも興味が持てないなどで起こります。
他人との関わりを避けたい
同じ部署やチーム内でも出来るかぎり関わりたくないといった場合、常に伏し目がちになる・不自然に目をそらす、無表情になり「表情で壁を作る」などと顔つきで他人を拒絶するようになります。
仕事ができない顔つきの改善方法
ここまで読んで、「当てはまっている・・・」と少し落ち込んでしまった方もいるかもしれません。
そんな方のために、具体的な改善方法をお伝えしていきます。
表情トレーニング
表情は意識的に鍛えることができます。表情の変化をつけるためにぜひ試してみてください。
笑顔の練習
鏡の前で様々な笑顔を作ってみましょう。作り笑顔でも、しっかりと表情筋のトレーニングになることが分かっています。
「職場で急にニコニコなんかできない・・・」といった人でも、少しずつ表情を動かす練習と思って気軽に取り入れてみることから始めましょう。
表情筋のマッサージ・ストレッチ
そもそも物理的に表情筋が硬い人もいます。顔のヨガや表情筋マッサージを行いましょう。
感情表現の練習
笑顔だけでなく、驚きや悲しみなど様々な感情を顔で表現する練習をしましょう。
姿勢の改善
良い姿勢は見た目だけでなく実際の能力にも影響します。
背筋を伸ばす習慣をつける
椅子に座るときは背もたれに寄りかからず、背筋を伸ばしましょう。姿勢保持に必要な筋肉を意識的に使うようにします。
肩甲骨を意識する
肩甲骨を寄せるイメージで胸を張ります。猫背になると必然的に伏し目がちになったり顏が下を向きやすいです。
立ち方を意識する
重心を少し前に置き、堂々とした立ち方を心がけます。
良い姿勢の大きなメリットが一つあります。良い姿勢を2分間保つだけで、自信とパフォーマンスが向上するという点です(Nairら 2019)。
「顔つきはなかなか変えられない」
「自信がないから仕方がない」
といった人でも自分ですぐに実践できるトレーニングとしてもおすすめです。
1日1回だけやってみる、週3回だけ頑張ってみる、と出来ることからコツコツと取り入れていきましょう。
自信がつくことで、顔つきも自然と変えることができるかもしれません。
身だしなみを整える
身だしなみは特に、人から見られる部分です。
寝ぐせや伸びきった爪、アイロンのかかっていない制服・・・などは「自分の管理に無責任な人」とみなされ、「仕事も無責任」だと思われてしまう可能性もあります。
自分の努力で変えられる部分は、日々気を付けておくようにしましょう。
まとめ
「仕事ができない顔つきの特徴」は、決して変えられないものではありません。
意識的な努力と適切な方法で、少しずつ改善できる可能性があるのです。
表情を変化させる努力をしたり、トレーニングをすることが少しずつ自信となり、顔つきを変えるきっかけにもなるかもしれません。
ここで紹介した方法をすぐに全て実践するのは難しいかもしれません。
まずは、自分にとって最も取り組みやすいものから始めてみてくださいね。